1.夢を持ち続けるビジョナリーであること
ドイツでの子ども時代、ホルストは、大きくなったらホテルで働きたいと家族に告げた。家族や親戚は、ホルストに別の道を進ませようとして、事あるごとに働きかけた。だが、彼は説得に屈することなく、自分の夢を貫いた。
最初のホテルで3年の見習い期間が終わろうとしていたとき、少年ホルストは、「紳士淑女にサービスを提供する紳士淑女」という考え方を獲得する。それはその後、彼自身だけでなく、彼の下で働くすべての人に力を与えるマントラとなった。
私はアトランタのリッツ・カールトンにホルストを訪ねた日のことを、けっして忘れないだろう。本文でも詳しく紹介されているスタンドアップ・ミーティングを、この目で見る特権にあずかることができたのだ。当時ホルストは、街にいるときには自分も参加して、週の始めに従業員とミーティングを行っていた。
彼は従業員に、会社がどこに向かっているのかを確実に知ってほしいと願っている。前の週に感じた懸念を口に出して言ってほしい、「サービス・スタンダード」を少なくとも1日に1つ復習してほしいと思っている。そのために行うのがこのスタンドアップ・ミーティングである。ホルストは、ビジョンを実現する最善の方法は、全員がサービスの規準を共有し、繰り返し学ぶことで、体に染み込ませることだと考えている。