試乗車は、70周年記念・特別仕様車のプラチナムエディション。ナビを含むインフォテインメント機能やLEDマトリックスライトなどの充実装備をそのままに、ベース車のTDIアクティブアドバンス(458万4000円)比で約40万円も価格を引き下げたお値打ちモデルである。しかもプラチナムエディションは、ベース車には設定がないDCCパッケージ(電子制御サスペンション)を18インチアルミとセットで用意(23万1000円)する。テスト車はDCCパッケージ仕様である。

どこまでも走って行きたくなる!
パワフルで経済的。信頼できる最良の相棒だ

 久しぶりに対面したゴルフは、スタイリッシュだった。最新のヴァリアントは歴代ゴルフで初めてハッチバックより50mm長い2670mmのホイールベースを採用。伸びやかな印象とスペース性を際立たせている。スリーサイズは4640×1790×1485mmと適度。大きすぎず、小さすぎない。まさに街乗りからロングツーリングまで最適なサイズ設定といえる。

 それでいて室内は広く、荷室は広大。大人4名で、遊び道具を満載しての使い方が似合う。ラゲッジシェルフのガッチリとした作り込みもドイツ車らしい。ヴァリアントは、豊かなライフスタイルを連想させるゴルフだ。

 TDIの心臓は、VWの最新世代となる2Lディーゼルである。ポイントは走りと環境性能。燃料噴射圧や噴射回数を一段とアップデートし、従来は1系統だったSCR排気ガス浄化システムを2系統とした。その結果、よりクリーンな排気ガスを実現すると同時に、出力やレスポンス、燃費などが向上し、静粛性もアップしたという。

 基本スペックは150ps/3000~4200rpm、360Nm/1600~2750rpm。実際にドライブすると、“これこそゴルフ”というイメージ。走りは静かでパワフル。実用域の1500~2000rpm付近の力強さが印象的だ。しかも吹き上がりとスムーズさも良好。4500rpmのレッドラインまで頭打ち感は皆無だ。走り出しの一瞬こそ、たとえばモーターを組み合わせたマイルドハイブリッド仕様のBMW・X1・20dのほうが強力な印象だが、総合的な実力は勝るとも劣らない。とくに中高速域の、アクセルを少し踏み込んだだけで分厚いトルクが湧き出す感触は格別。どこまでも走って行きたくなる。