乗るほどに愛着がわき
“いいクルマを買った”と実感するクルマ
ディーゼル特有の音も全域で抑えられ、快適性もハイレベル。ハッチバックと比較すると後方から侵入するノイズがやや高い印象はあるが、さほど気にならない。WLTCモードの燃費データは19.0km/L。燃料タンク容量は51Lだから、単純計算では969kmの航続距離を誇る。参考までに紹介しておくと、以前、連載企画「クルマの通知表」用に計測したハッチバックのTDIは24.9km/L(WLTCモード:20.0km/L)をマークした。TDIの優れた燃費性能は大きな魅力である。
ハンドリングも好印象を抱いた。車重がかさむディーゼルながら、コーナリング時にノーズが重い印象は皆無。軽やかにワインディングロードを駆け抜ける。DCC仕様の試乗車の場合、スポーツを選ぶと一段とシャープに変身。コンフォートではしっとりとした乗り味が味わえた。車高が高いSUV全盛の中、低く構えたゴルフは、ひときわドライビングが楽しめる1台である。
クルマに何を期待するかで、評価は変わる。ゴルフ・ヴァリアントTDI は、生活のパートナーとして“信頼できる1台”を求めるユーザーに最適な選択肢だ。しっかりとしたボディとパワフルな心臓。そして安定性に優れた足回りは、ドライバーに絶大な安心感を与え、広く使い勝手に優れた室内空間が、ウイークエンドの生活の幅を広げる。しかもモダンなインフォテインメント機能と最新の安全・運転支援機構が、いまという時代を感じさせる。決して派手な存在ではないが、乗るほどに愛着がわき、“いいクルマを買った”と実感するクルマ。ゴルフは、やはりVWの代表に違いない。
(CAR and DRIVER編集部 報告/横田宏近 写真/山上博也)