中国が権威主義的な支配を強めるにつれ、かつて喧騒(けんそう)に包まれていた大都市・香港から、その支配の及ばない場所が消えつつある。書店は閉鎖され、ショーはキャンセルされている。かつて人々を団結させていた政府への抗議の声は、人目を忍ぶささやき声に取って代わられた。2019年に民主化を求めて街頭を埋め尽くした群衆はとうの昔に姿を消したが、国家安全保障の名の下に反対派を封じ込めようとする政府の取り組みは今も続く。23日に施行される国家安全条例は、扇動などの犯罪を厳罰化し、国家機密の窃取や外国勢力による干渉を犯罪行為として禁じるものだ。香港立法会(議会)が極めて短期間で可決した同条例は、何が違法行為に当たるのかを巡って議論を巻き起こしている。古い日付の民主派の新聞が家に放置されているだけで違反に当たるのか心配する声もある。神聖で個人の空間と考えられていた教会の告解室のような場所さえ安全なのか懸念する人もいる。
香港を包む沈黙、書店は閉まりショーもキャンセル
国家安全条例の施行で市民の生活はどう変わる
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