ネガティブな自動思考を止める、たった1つの方法があります。
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)
「〇〇思考」について
「頭の中がごちゃごちゃして落ち着かない」
「考えても仕方がないとわかっているけど、グルグル同じことを考えてしまう」
このように、頭の中に勝手に浮かんでしまう考えやイメージを「自動思考」といいます。
たとえば、朝に上司に挨拶をしても返事がなかったら、「無視された?」「自分は嫌われているのかな?」「何か悪いことをしてしまったのかな?」と考えてしまうことがあります。
人間は通常の考えだけでなく、刺激に素早く反応するための自動思考を持っています。
自動思考はネガティブなものだけではありません。
たとえばプレゼントをもらったとき、「嬉しい!」「欲しかったものだ」「今持っている服と合うかな?」と考えることも自動思考です。
しかし、自動思考をうまくコントロールしないと、次から次へと考えが浮かび、頭の中がぐるぐるして、感情もモヤモヤしてしまい、ネガティブな考えから抜け出せなくなることがあります。
このネガティブなループから抜け出すためには、自分の自動思考に気づくことが大切です。すなわち、自分の思考を観察する練習が必要になるのです。
自分を観察する方法とは?
自分の思考、すなわち「考え方」をじっくり観察すると、自分を他の角度から見る力が強くなります。
これを「メタ認知」と言います。
メタ認知が良くなると、自分の性格や反応の仕方がよくわかるようになります。
たとえば、「この状況では、自分はこのように感じるんだ、だから行動はこうなるんだ」と自分の行動をより論理的に、より深く考えられるようになります。
これによって、何か起こったときに振り回されることが少なくなり、物事を自分でしっかりと見ることができるようになります。
自分のことがよくわかると、他人の気持ちも理解しやすくなります。
普段はなかなか意識しないことだからこそ、自分の考えをちょっと観察するだけで、自分のことをもっと理解できるようになるでしょう。
そして、それが頭の中を整理する鍵となります。
ネガティブで、感情が自分で抑えられない人ほどこの論理的な思考法は効果的です。
頭の中をスッキリと整理するためにも、ぜひ試してみてください。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医。
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。