ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は先週、テロ攻撃が差し迫っているという米国からの警告を一蹴し、ロシア治安当局幹部らに対し、むしろウクライナのスパイを捕らえることに集中するよう促した。その3日後、過激派組織「イスラム国」(IS)の武装集団がモスクワ郊外のコンサート会場で銃を乱射し、130人以上が死亡した。これはロシアで発生したテロ事件としては過去数十年で最悪のものだ。ロシアが24日、全国的な追悼の日を迎える中、同国内で最も有名な娯楽施設の一つに対する血なまぐさい攻撃により、慎重につくり上げられたプーチン氏の強力な政治指導者としてのイメージが損なわれる恐れが生じている。また、同氏がロシア国民に対する安全保障の約束を果たすために構築した権威主義国家の能力についても、疑問が生じている。