英「フィナンシャル・タイムズ」に香港をよく知るコラムニストが寄稿した「香港は終わった」というタイトルのコラムで、香港社会が震撼している。さらに中国からも、かつて「世界の金融センター」と呼ばれていた香港を「遺跡」と揶揄(やゆ)する声が出現している。本当に香港はもう「終わった」のか、「遺跡」になったのか。(フリーランスライター ふるまいよしこ)
フィナンシャル・タイムズで
金融の専門家が「香港は終わった」
「It pains me to say Hong Kong is over」(わたしにとってつらいことだが、香港は終わった)
こんなタイトルの寄稿文が2月に英「フィナンシャル・タイムズ」に掲載され、香港の政界を震撼させた。
執筆者はスティーブン・ローチ氏、モルガン・スタンレーの元アジア地区首席アナリストだ。2007年から2012年にかけて香港を拠点に、業界ではどちらかというと中国や香港に対して楽観的、好意的な論を展開してきた金融専門家として知られてきた。その彼が今になって「香港は終わった」と堂々と書いたのだから、香港政府トップは当然穏やかでいられるはずがなかった。
ちょっと先走りするが、ローチ氏の寄稿文はこんなふうに終わっている。
この言葉には、筆者もうなずけるところがある。