仕事はしんどい。『SPY×FAMILY』作者を支える“たった一つの生きがい”とは?Photo by Shinya Morimoto

勝丸 楽しかったですね。スパイを追っかけるなんていう仕事は、まず会社勤めではやれないですから(笑)。普通の人でも映画でスパイを見るところまではできますが、追いかけるところまでいける人は限られます。「人がやれないことをやっている」という喜びがありました。

遠藤 こんな言い方をしたら失礼かもしれないですけど、公安はどこか“鬼ごっこ”的な部分もありますね。

勝丸 その通りです。そこは訓練を受けた者どうし、「狐と狸の化かし合い」みたいなもので、毎日「暴いてやるぞ」と意気込んでましたね。勝ち負けではないんですが、勝負しているような気持ちでした。遠藤先生は、現役の漫画家ですが、お仕事を楽しめていますか?

遠藤 正直、描いてるときは辛いことの方が多いですね。打ち合わせで方向性を話し合ったり、ストーリーをうまく描き進められているときは楽しいのですが、原稿の作業なんかは本当にしんどいです。コロナ以降はスタッフさんも在宅ワークに切り替わり、今は一人で黙々と描いているので、余計にですね。公開後に届く読者の感想だけを生きがいに、なんとか筆を進めています。