大ヒット漫画『SPY×FAMILY』作者としてスパイを描く遠藤達哉さん。公安警察時代にスパイハンターとして日本の治安を維持した勝丸円覚さん。フィクションとリアル、それぞれの世界でスパイを熟知する2人による豪華対談。第1回(全8回)は遠藤達哉さんが、アニメ化の際に苦労したことを教えてくれました。作り手から見て、漫画とアニメはどう違うのでしょうか。初回から「ここでしか読めない制作裏話」が盛りだくさんです。勝丸円覚さんは『SPY×FAMILY』におけるスパイの描写があまりに正確で驚いたそうです。(構成/ライター・東田俊介)
スパイ映画はあまり観ない
勝丸 うちの妻と子どもが『SPY×FAMILY』の大ファンで、今日はお会いできるのを楽しみにしていました。そもそも、なぜ「スパイ」をテーマにされたんでしょうか?
遠藤 「スパイもので描こう」という強い思いは特になくて、元々ミリタリーっぽいものが好きだったり戦争関連に興味があったりして、そこに「嘘」というテーマを掛け合わせたら、自然とスパイになりました。ただ、映画などではスパイものをそんなに見たことがなくて、『007』も1、2本しか見たことがないですね。
勝丸 えっ、そうなんですか!作中に登場するスパイの情報が、スパイを追いかけていた私から見てもかなり練り込まれた印象です。一体どうやって、そうした知識を得られたのですか?
遠藤 大体は書籍ですね。あとはドキュメンタリー映像とか。昔の映画で『シュリ』っていう北朝鮮の特殊工作部隊と韓国の情報機関の戦いを描いた映画がありましたが、あれは好きでしたね。
勝丸 夫のロイドがスパイで、妻のヨルが殺し屋という設定は、映画の『Mr.&Mrs. スミス』を思い出しました。