用意するのは紙と鉛筆
そして「年次報告書」を精査すること
バフェットの投資作法は、まず紙と鉛筆を用意することから始まります。
「自分が理解できる企業の名前を紙に書いて、それを取り囲むように輪を描きます。次に、その輪のなかにある企業のうち、その本来の価値に比べて株価が割高なもの、経営陣がダメだと思うもの、事業環境が芳しくないものなどを消します」
「1つの企業に目をつけたら、自分がその企業を相続したつもりで調査をします。要するに経営者兼大株主の立場に立って考えるわけです。しかも、自分の一族が保有する資産はこの企業だけだと仮定します。……経営者として自分は何をするか、何をしたいと考えているか。心配事はないか。どんな競争相手がいて、どんな顧客がいるか。こういう質問をいろいろな人にぶつけてみます。……そうすれば、その会社の長所と短所が見えてきます」(49~50ページ)
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企業を調べるうえで、主たる情報源の1つに挙げているのが「年次報告書」です。目をつけた企業の年次報告書を読み、次にその企業のライバル会社の年次報告書を読みます。脚注も飛ばさず読みます。もし理解できない脚注があったら、それは理解してほしくないという会社側の姿勢の現われであると判断して、そんな脚注を書く会社には投資しないのです。
調査はこれで終わりません。ときに図書館にこもって書籍や参考資料を読みまくります。必要があれば専門家に話を聞き、可能な場合は経営陣にも会って話を聞くのです。
「ニューコーク」が大失敗したあとのコカ・コーラや金融危機時のゼネラル・エレクトリック(GE)などの株式を、かつてバフェットが大量購入したことはよく知られています。
「絶好の投資機会がやってくるのは、エクセレント・カンパニーと称される優良企業が異常事態に直面し、株価が適切に評価されなくなるときです」(34ページ)