工場から出荷される一つ一つの製品が常に完璧であるとしたらどうだろう。工場長の夢物語のように聞こえるかもしれないが、これは「欠陥ゼロ」のモノづくりの最終目標であり、米国の経営幹部の間ではこうした理想を追求する姿勢が広がっている。米国の製造業に対しては、品質について厳しい視線が注がれている。製品のリコールは急増し、ボーイング機のドアプラグが飛行中に吹き飛んだ1月の事故など、大きな問題の報道も相次ぐ。ただ、企業の間では技術や訓練、重点の置き方など複数の要素を組み合わせることでミスをなくすことができるとの指摘もある。自動車大手フォード・モーターのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は欠陥ゼロの目標実現が必要だと主張する。投資家に対しては昨年、ピックアップトラック「スーパーデューティ」の製造での問題を発見するために、組み立てラインで人工知能(AI)を活用し、徹底的な走行テストを行ったと説明した。同様に欠陥ゼロを目指す自動車大手ステランティスでは、新たな品質基準の数は100を超え、品質保証に基づくクレーム請求の減少率は2桁になったとしている。