失敗したときは、エネルギーの回復に務める

 以前、ある本で大きな失敗をしたときの処し方を紹介したことがあります。中身は「逃げる」「『しょうがない』『自分のせいではない』と考える」「美味しいものを食べる」「寝る」「誰かに愚痴を言う」といった、生真面目な人たちが見たら怒られそうなものでした。これらはいわば、その場しのぎの一時的な対処法です。失われたエネルギーを回復しないことには、本当の意味での解決のために動くことができないので、それを優先するためなら、これらの方法を使っていいのではないかと提案しました。適当なことを言っているのではなく、いずれの方法も実際に効果が認められています。

 逃げるのは「卑怯なこと」か「見苦しいこと」というのが世の中の多くの人の見方です。しかし、よい対処が見つからない場合、その場に居続けても仕方ないので、そういうときは一時避難のつもりでその場から逃げ出すのもありなのです。逃げることで、まわりから批判されることもあるでしょうが、真面目に頑張って潰れるよりはマシです。もちろん、逃げるのはあくまで一時的で、責任を放棄するのとはまったく違うことを付け加えておきます。

 次の「しょうがないことだった」「自分のせいではない」と考えるのも、趣旨は同じです。口に出すと問題が大きくなりますが、頭の中でそう考えるだけなら、まわりからとやかく言われることではありません。失敗の直後は、生真面目な人ほど自責の念に苛まれて、否定的なことやよからぬことを考えがちです。その状態では前向きに動くことはできないので、心を一時避難させて、エネルギーの回復を待てばいいのです。

 心身に活力を与えるということでは、「美味しいものを食べる」と「寝る」も有効です。いずれもリフレッシュできるので、頭が柔軟に働くようになります。落ち込んでいるときは食欲がなくなったり、頭の中で否定的な思考がぐるぐる回ってふつうに寝ることができなかったりするものです。そういうときは好きなものを食べたり、薬(睡眠薬)の力を借りてぐっすり寝るのもありだと思います。