これが、今後の日本経済の中心となっていく、今の10~20代の「普通」です。

 だからこそ、逆に炭治郎という抑圧のない自然体の主人公の、数々の試練を乗り越えて成長していく姿が、Z世代の心を掴み、普段漫画を読まない幅広い世代にもぶっ刺さったわけです。

 大谷翔平さん、羽生結弦さん、久保建英さん、藤井聡太さんなど、自然体のまま、好きなことを追求して世界で活躍する若者がどんどん増えてきています。人と争うことが好きでもなく、蹴落とそうとするなどもってのほか。むしろ、個々の価値観を認めて「お互い違ってもそれはそれでいいじゃん」という度量の広さを持ちます。

 全てが満たされており、頑張ることで手に入れたいものもない、欲求の少ない今の若者は、等身大かつ自然体です。この抑圧されていない、「自然体な世代」を相手にせねばらないのが、今のマネジメント職なのです。

書影『武器としての漫画思考』『武器としての漫画思考』(PHP研究所)
保手濱彰人 著

 したがって、Z世代の若者に対しては、単純に「これって面白いよね」と共感するほうが絶対にうまくいきます。

 自己中心的にふるまうのではなく、「周囲のやっていることがいいと思うから、自分もそうする」。他人を出し抜こうとするのではなく「他人が困っている時は手を差し伸べる」。組織の目標だから従えではなく、自然と目標に向かいたくなるようにモチベーションを上げるのがリーダーの仕事なのです。

 これが、現代の若者=Z世代のスタンダードであり、彼らをマネジメントするコツです。