自然と頑張ってくれるようなシチュエーションを設計すること。まさに『呪術廻戦』の環境と同じですね。

 無理にやらせようとしても逃げていきますが、彼らが自然と働きたくなるような「環境」を提供し、最大限パフォーマンスを発揮してもらいましょう。

 そうすれば、献身的な働きが必要になるシーンでは、彼らは躊躇なく飛び込んできてくれるでしょう。

 歴史を顧みると、まさに現代型の特攻隊、赤穂浪士と言えるのではないでしょうか。『鬼滅の刃』の感動的なエピソードの中には、まさにそのような自己犠牲の精神が描かれています。

 科学的なエビデンスも紹介しておきましょう。

 マズローの五段階説によれば、人との繋がりは「社会的欲求」として、衣食住のような生きるための「一次報酬」よりも高次なものでした。

 しかし、近年の研究によると、むしろ人間は「人の間」と書くように、人との繋がりやそこで扱われる公平性こそ、生存と等しい一次報酬であると捉える傾向にあることが明らかになっています。

他の世代よりもはるかに
「スキ」を大事にする若者たち

 筆者もよく知る敏腕漫画編集者たちが口を揃えて言うことなのですが、漫画において最も重要なのは「キャラ立ち」。もちろんストーリーも重要なのですが、キャラクターを好きになってもらえれば、その後はそのキャラがどう動くか、何を話すか、どうなっていくかを見るだけで楽しくて仕方がなくなる。したがって、とにかく主要人物たちをいかに好きなってもらうかを第一に考える、と言います。

 自分の子供であれば、一挙一投足を見ているだけで幸せになりますよね。そんなふうに愛されるキャラに育ってほしいと願っているようです。

 さて、そんな「スキ」という概念は、現代の若者のモチベーションを読み解くのに非常に重要です。

 Z世代は生まれた時から自由を享受しており、既存の価値観に縛られず、純粋に好きなものを楽しんでいるわけです。

 だからこそ、昔で言えばオタク的な趣味をSNSで発信する人も増えましたし、「スキ」を追求する熱量が、他の世代よりもはるかに高いように思います。