外部の知見を入れることで人事担当者は成長する
たとえば、EC事業をメインに展開する上場企業から、「ITエンジニアの採用に困っている」という相談を受けて、私たちが「外部プロ人事」を紹介したケースがあります。
その上場企業は、人事のリソースとノウハウ不足が顕著な状態でした。「ITエンジニア採用」というプロジェクトの開始当初は、採用に割くリソース不足を解消する意味合いが強く、一緒に手を動かしてもらえる人材として「外部プロ人事」への期待が高かったようですが、元エンジニアでもあった「外部プロ人事」からエンジニア採用の知見をインプットしてもらったことで、採用の進め方と方法の質が大きく変化しました。リソース不足の解消だけではなく、知見やノウハウを外部から得たことによって、適切な採用活動が前に進んだのです。
その「外部プロ人事」の業務範囲は、採用母集団の形成から企画業務にも広がり、その後はエンジニア職の報酬レンジ改定や採用要件定義などにも支援領域が拡大していきました。「外部プロ人事」の着任から3年以上が経過した現在(いま)もなお、雇用形態の垣根を越えて、同社の人事組織の一員として活躍しており、既存の正社員である人事担当者にも良い影響と学びを提供しています。
このケースは、「外部の知見・ノウハウを入れることで、社内の人事担当者が孤独を解消しながら、自らの成長を実現し、人事施策も広がりを見せた好例」と言えます。前述したように、人事は取り扱う情報の機密性の高さから、外部(他会社の人事担当者など)との接点がどうしても少なくなりがちです。そこに新たな風や情報が入ることによって、正社員である人事担当者の“孤独感”が減り、人事施策への取り組みが大きく前に進むケースを、私は何度も目の当たりにしてきました。
ある企業の人事担当者は、私にこう言いました。
「自社の人事担当者だけで進めていたら、倍の時間をかけても同じ成果は出なかったと感じています。『外部プロ人事』がジョインしたことで、社員側のインプットも増え、新しいトライがたくさん生まれました。それによって、経験・ノウハウが社内に積み上げられたことは、自組織にとって大きな意味がありました」