■Case5「黙ってないで、意見を出して!」

会議の場でどんどん意見を出してほしいのに、黙りこくって何も言わない人がいると、気になりますよね。上司からすれば、部下が何を考えているのかわからず、会議も有益なものにならず、困惑してしまいます。

そんなとき、思わず「黙ってないで、意見を出してよ!」と言いたくもなりますが、感情をそのままぶつけてしまうと、相手は萎縮してしまいますます意見を言えなくなる可能性があります。

そんなときは、ぜひこんな伝え方をしてみてください。

◎「田中さんと一緒に、いい企画にしたいんだ。田中さんの意見を聞かせてもらえないかな?」

これは、伝え方の技術「チームワーク化」を使った伝え方です。人は「一緒にやろう」と言われると嬉しさを覚え、自分からやりたいという気持ちになります。「一緒にいい企画にしたい」と言われると、「上司が自分と同じ立場に立って一緒にやってくれるんだ」と伝わり、ますます嬉しさを覚えるでしょう。
この伝え方をしたうえで「意見を聞かせてほしい」とお願いすれば、自分も勇気を出して意見を言ってみよう! と思ってもらいやすくなります。

昭和的な伝え方が100%ダメというわけではなく、実際それがガツンと刺さるシチュエーションもあると思います。いいことも悪いこともストレートに言ってもらったほうがいいという若手も、中にはいます。
ただ、今の世ではストレートに言うと落ち込んでしまう若手のほうが多いと思います。先のドラマの中でも、「頑張って」と言われただけで会社を休んでしまったというエピソードが取り上げられていましたが、これは働く現場で実際起こっていることです。

繰り返しになりますが、大事なのは「相手の置かれた状況」や「気持ち」を想像して伝えること。コミュニケーションの答えは自分の中にはなく、相手の中にあります。この人は何と言われたいのか、どう伝えれば気持ちよく動けるのかを想像したうえで、伝え方の技術を使いながら伝えてみてください。この春新しく入ってきた新入社員とも、うまくコミュニケーションが取れるようになるはずですよ。

不適切にもほどが! 昭和かよ! 新入社員がやる気をなくすパワハラ上司のひと言とは?佐々木圭一(ささき・けいいち)
コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師
新入社員時代、もともと伝えることが得意でなかったにもかかわらず、コピーライターとして配属され苦しむ。連日、書いても書いても全てボツ。当時つけられたあだ名は「最もエコでないコピーライター」。ストレスにより1日3個プリンを食べる日々をすごし、激太りする。それでもプリンをやめられなかったのは、世の中で唯一、じぶんに甘かったのはプリンだったから。あるとき、伝え方には技術があることを発見。そこから伝え方だけでなく、人生ががらりと変わる。本書はその体験と、発見した技術を赤裸裸に綴ったもの。本業の広告制作では、カンヌ国際広告祭でゴールド賞を含む3年連続受賞、など国内外55のアワードに入選入賞。企業講演、学校のボランティア講演、あわせて年間70回以上。郷ひろみ・Chemistryなどの作詞家として、アルバム・オリコン1位を2度獲得。「世界一受けたい授業」「助けて!きわめびと」などテレビ出演多数。株式会社ウゴカス代表取締役。伝えベタだった自分を変えた「伝え方の技術」をシェアすることで、「日本人のコミュニケーション能力のベースアップ」を志す。
佐々木圭一公式サイト:www.ugokasu.co.jp
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