■Case3「早く返信してください」
打ち合わせの日程を早く決めたいのに、候補日をなかなか送信してくれない若手メンバー。1人のせいで予定が決まらず、イライラすることもあるでしょう。
そんなとき、ストレートに「早く返信してください!」とメールしたくなりますが、もしかしたら大量の仕事を抱えてアップアップの状態にあるのかもしれません。「確かに返信が遅れているのは悪いけれど、状況も知らないのにこんな言い方しなくても…」と思われてしまう可能性があります。場合によっては、「あなたはヒマでいいね!」などと反発されてしまうかもしれません。
こちらは事を荒立たせるつもりなんてなく、早く返信してほしいだけなのに、この伝え方だと無駄にハレーションを起こしてしまう恐れすらあります。
そんなときは、このようなメールを送ってみてください。
◎「今度の打ち合わせは、原田さんだけには来てほしいんです。原田さんの都合を優先したいので、早めに候補日を出していただけますか?」
この伝え方は、「あなた限定」と「相手の好きなこと」という2つの技術を使っています。「原田さんだけには」と限定して特別扱いすることで、「早く返信しなければ!」と思ってもらいやすくなります。そして、「原田さんの都合を優先したい」というのは相手にとって嬉しいことです。自分の都合を優先してくれるのであれば、早く空き日程を伝えようと思えるでしょう。
なかなか返信するヒマもない原田さんは、きっと忙しい人なのだと思います。もしかしたら「今めちゃくちゃ忙しいし、今回の打ち合わせはできればパスしたいな…」と思っているかもしれませんが、この伝え方をすれば、早く返信してもらえるうえに、出席してくれる確率も高められるでしょう。
■Case4「言われたことは、ちゃんとやって!」
お願いした業務になかなか取り掛かろうとしない部下。大事な仕事なので早く着手してほしいとき、「言われたことはちゃんとやって!」とガツンと言いたくなる気持ちはわかります。
上司からすれば、「仕事だし、このような言い方をしても当然」「強く言わなければ重要性が伝わらない」などと思うかもしれません。しかし、令和の若手の中には「怒られた」と感じて萎縮してしまう人や、「この上司とはコミュニケーションが取りづらい」という印象を持つ人も少なくありません。
こんなときは、このように伝えてみてください。
◎「重要な案件なので、佐藤さんにしか頼めなくて。いつもありがとう!」
この伝え方ではまず、「あなた限定」という技術を使っています。「重要な案件なので佐藤さんにしか頼めない」と言われると、相手は特別扱いされたと感じ、とても嬉しく思います。「自分にしか任せられない案件であれば、もっと真剣に臨まねば!」とモチベーション高く業務に取り組んでくれるようになるでしょう。
「ちゃんとやって!」と言っても、「佐藤さんにしか頼めない」と言っても、どちらも仕事に取り組んではくれるでしょうが、前者はやらされている感を覚える一方で、後者の伝え方ならば自分からやろうと思えます。自ら能動的に頑張る習慣がつけば、それだけ成長スピードも速まるはず。部下の早期育成につながる伝え方とも言えるでしょう。
そして最後の「ありがとう」は、伝え方の技術「感謝」です。人は感謝されると、相手との距離がぐっと縮まります。距離が近づいた相手にお願いごとをされると断りづらくなるだけでなく、「ちゃんとやろう!」と前向きに受け止めてもらいやすくなります。
もちろん、この伝え方ならば「ありがとう」を入れなくても前向きに取り組んでくれると思いますが、ありがとうという言葉が最後のワンプッシュになります。どの伝え方にもプラスして使えるので、ぜひ覚えておいてほしい言葉です。