運賃はこちらで支払います。JR白浜駅には、乗車許可証なるものを発行してもらっています。でも、コロナ禍になってからは、それがちょっとやりづらくなりました。それが理由で電話相談が増えて、本当に大変でした。何といっても、電話の場合は24時間つながりますので。

牧師ですら受け入れにくい
タイプの自殺志願者もいる

筆者 三段壁から電話があったときは、どのように対応しているのですか?

藤藪 「なんで死にたいのか」とは尋ねないです。基本的には、「今どこにいますか?」と聞いて、遠いとなると話を聞くことになります。もし、三段壁にいる場合はすぐに会いに行きます。そのほうが早いので。「○○にいてください」と言って、「僕は車で行きます。車は○○です」という話をしてすぐに向かいます。

 到着しても、私は車から降りません。その人に近づいて、助手席の窓を開けて、「よかったら乗ってください」と言って、連れて帰ってきます。そして、そこから考えます。もちろん、車の中でも話をしながら考えています。「しまった」と思ったり、しんどそうだなと感じたり、いろいろですね。受け入れづらいなーと感じるときもありますが、私のなかでストンと納得できるものというか、その人の本音が聞けたら「受け入れる」ことにしています。

 逆に、なんか斜に構えているなーとか、何かを隠しているなーとか、威圧的なもの言いだったり、作為的なことを感じるときには考えてしまいます。正直、困ったなあーと思いますね。白浜駅から電車に乗せるかとか、警察に連れていって保護してもらうとか、いろいろと考えます。

 ちなみにですが、「信仰で治せ」、「信じたら治る」とか、そんなことは絶対に言いませんよ。

 精神疾患のある方については、隣の病院(はまゆう病院)には精神科がないので、「紀南こころの医療センター」を紹介し、予約を取ったうえで一緒に受診しています。

筆者 それでも死にたいという人には?