藤藪 行政につないだり、医療機関につないだりしますね。危機介入としては、希死念慮(自殺念慮)が高いとなると、保健所とかに入ってもらって入院させることになります。仮にうちで引き取っても、24時間ずっと見守ることはできませんので。

 危険が伴うと思われる場合は、やはり保護してもらえるところにつなぐしかありません。もちろん、保健所も協力的です。基本的には、どこともいい関係を維持しています。

生活を保護されていても
生きがいは得られない

筆者 年齢や性別によって違うでしょうが、どのような方が相談に来られますか?

藤藪 昔、僕が継いだ1999年のころは40代後半の人が多かったです。そこから、その年代の人たちが、たとえば5年経ったときには55、56歳の人が多かった。その5年後には、65歳前後の人たちが多かったですね。なので、団塊世代が多いのかなと思っていました。

 僕のところではそんな感じでしたが、全国統計的には、10代、20代、30代、40代の死因の一番が自殺ですよね。コロナ禍になってからは、20代、30代の人が増えてきました。あとは、大学生とかですね。

 もう一つ、生活保護をもらっているんだけど、死にたくなったという人が多いです。要するに、虚無感です。せっかく生活できてるのに、楽しくないとか、面白くないとか、生きていてもしょうがないといった理由の人が多いですよ。

 性別に関しては、これまでは7対3で男性が多かったのですが、最近では6対4ぐらいの割合で、女性の割合が増えてきているような気がします。家庭の問題とか夫婦間の問題が増えたからでしょう。家族間や夫婦間の問題、つまり離婚であったりとか、親子間の暴力が理由で女性が行き詰ってしまうケースがあるようです。

 20代、30代の場合は、将来の希望がもてないという理由が多いです。仕事が継続できない、何かをはじめたのにすぐに辞めてしまう。

 そして、それを繰り返してしまう。そうすると履歴書に、数カ月ごとに『辞めた』と書かなければならないような人生を前にして、生きる自信をなくしてしまうようです。

 自分に自信がない、積み上げてきたものがない、自分が社会のレールから外れたと感じているわけです。発達障がい系の人に多いのですが、人とのかかわりにおいて難のある人が多いですね。