筆者 どのような方が自殺に来ますか?

藤藪 全国から来られます。北海道の方もいましたし、沖縄の方もいました。でも、みなさん、そこから直接来てないかもしれません。どこか別のところに行ってからここに来るとか。沖縄で悩んで、本当に行動しようと思って、飛行機に乗ってここまで来るという人はいないでしょうね。電車を乗り継いでこれる方は直接来ます。

 先日、「青木ヶ原樹海に行ったけどうまくいきませんでした。東尋坊にも行ったけどうまくいきませんでした。今回は三段壁に来ました」と言っていた人がいました。また、「近所にあるビルの屋上に上ってみたけど、うまくいきませんでした」と言っていた人もいました。こっちだったらうまくいきそう、と思うってことは、その都度その都度、何かきっかけとなることがあるんでしょうね。思い詰めたりして。

土産屋や観光客からの情報提供も……
24時間つながる電話対応は本当に大変

筆者 年間の保護件数は何件くらいでしょうか?

藤藪 保護してる数は、年間で40件ぐらいです。警察も同じぐらい保護していると思います。何回か来る人もいますね。来ても、思い切ることができずに帰られる方がいます。

筆者 自殺志願者からの相談ですが、どのような形でこちらに届くのですか?

藤藪 こちらにつながる場合は電話が多いですね。直接本人からかかってくる場合もありますし、警察や行政からも回ってきます。「気になる人がいます」と言って、お土産屋さんとか観光客からの通報もあります。いろいろですよ。

 たまに、夜中にかかってくることもあります。その場合は本人ですね。臨時派出所の中に直通電話を警察が設置しているので、その電話を使うか、最近は自分のスマホでかけてくる人もいます。

 電話の件数は多いですよ。何回もかけてくる人の電話までカウントすると、分からないぐらいかかってきます。コロナ禍の前は、それはもう大変でした。「ここにおいで」と言って、その人が電話をかけてきたところ、県外から、JRを使って白浜駅まで来てもらうというケースもいっぱいありました。