とにかく腹筋運動さえすれば良いという考えは「間違い」
腹筋が見えてくるほど脂肪を落とせたとしても、筋肉量が伴わなければ元も子もありません。つまり、腹直筋(あるいは“シックスパック”筋)の強化が重要なのです。ただし、「そのためだけにクランチばかり何千回も繰り返す必要はない」とエリス氏は言います。
「もちろん、クランチは優れたトレーニングです。悪く言う人も中にはいますが、そんなことはありません」とエリス氏。しかし、腹直筋のトレーニングばかりに集中し過ぎてしまえば、ウエイトなど他のトレーニングに充てるべき時間やエネルギーが奪われてしまうのは必然です。
「要は、時間の使い方を意識するということです。体幹を鍛えるのであれば、多様なアプローチがあることをまず知っておくべきでしょう」
シャツを脱ぎ捨てた際に、見事な腹筋が現れるのが理想でしょう。ですが、脂肪を燃やす場所を選ぶことは、残念ながらできません。どこか特定の脂肪をターゲットにして燃焼させるというエクササイズには、大した効果は期待できないということ。つまり、クランチばかりやりながら腹部を鍛えたつもりになっていても、それで腹部の脂肪が減っているとは限らないのです。
正解:全身をターゲットにしたレジスタンストレーニングと、機能的な体幹トレーニングを組み合わせる
スクワット、デッドリフト、ベンチプレスなど、複合的なレジスタンストレーニングを行うことで全身に加わる負荷が高まり、脂肪の燃焼が促進されます。さらにそれらの運動を通じて、背骨を中心としたまっすぐな体幹にとって不可欠な、背筋を鍛えることもできるのです。
「理想的な体幹を得ようと思えば、腹筋を鍛えるだけでは不十分です」と、サミュエル氏は言います。腹筋を磨き上げるためには、体幹を含む上体の全てをターゲットにしなければなりません。体幹の「ひねり」や「回旋」、脊柱の「屈曲(前屈)」や「伸展(後屈)」は、背筋運動や、クランチやレッグリフトで鍛えられるでしょう。
より優れたバランスの取れたアスリートとなるために、何よりも欠かせないのが体幹の機能です。そして体幹を鍛えることが、見栄えのする腹筋という目標にもつながっていくのです。
「機能美の備わった肉体は、つい見ほれてしまうものです」と、サミュエル氏。つまり体幹が強化されてこそ理想的な腹筋だけでなく、屈強な背筋、健康的な運動能力が身につくというわけです。