ワークアウトが腹筋におよぼす影響

腹筋をする女性Photo:BROOK PIFER//Getty Images

有酸素運動をひたすらやればいいというのは「間違い」

「脂肪を燃焼させるためにはとにかく有酸素運動に励むこと、という意見を最近よく耳にします」とエリス氏。有酸素運動の時間を増やすことで犠牲になるのは、筋力トレーニングの時間です。上記の2021年の脂肪減少研究(*3)にあるように、有酸素運動を増やすことで大幅な脂肪減少を実現した被験者がいることは確か。ですが、そのために彼らは有酸素運動の時間を1日あたり100分間も増やしているのです。

「有酸素運動こそが体脂肪率低下への近道」という考えは、いくつかの理由から間違っているとサミュエル氏も指摘します。

「まず、体脂肪をパーセンテージで見る場合、筋肉量との相関関係を無視するわけにはいきません。筋肉量を増やしたうえで体重が変わらないというのであれば、それは体脂肪率が低下したことを意味します」

筋肉量の増加は、消費カロリー量の増加と同義」、とサミュエル氏は言います。徐脂肪体重が増えるに従い、カロリー燃焼および脂肪燃焼の基礎レベルが上がるためです。「有酸素運動ばかりに意識を向けるべきでない理由のひとつとして、体幹の強化がおざなりになってしまうからだ」と、サミュエル氏は指摘します。

「つまり、見栄えの良い腹部に必要な肝心の筋肉が鍛えられないのです」と、サミュエル氏は続けて言います。

正解: 筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせる

「ことトレーニングにおいて、人々は極端な方向に走りがちだ」と、エリス氏は警鐘を鳴らします。

「『有酸素運動さえしていれば体脂肪を落とせるのだから、とにかく有酸素運動を強化する』という人や、『レジスタンストレーニングこそ正義』というような偏った考えに陥ってしまう人が多く存在します」とエリス氏。有酸素運動を増やすのは結構ですが、だからと言って筋力トレーニングを怠るべきではないでしょう。

脂肪を落とし、引き締まった肉体を維持しようと思えば、どちらの運動もバランスよく組み合わせるのがベスト。0か100かというような考え方は避けるべきです