あらゆる炭水化物を避けるというのは「間違い」

 引き締まった肉体のためには、食生活の改善が必要不可欠です。だからと言って、炭水化物さえ抜けば腹筋が見違えるという話ではありません。

「チキンとブロッコリーさえ食べていれば割れた腹筋が現れるのだから、その他のものを食べるべきではない。そんな思い込みを持つ人もいます」と、サミュエル氏。「しかし、8~12パーセントの体脂肪率を目指すのに、そこまで厳しい食事制限を設ける必要はありません。タンパク質を多く摂り、水分補給を怠らず、常識の範囲内で健康的な食生活を守ることが重要です」

「ライフスタイルやワークアウトの頻度にもよりますが、炭水化物を過剰に制限するのはむしろ逆効果を招きかねない」、とエリス氏も指摘しています。体脂肪を減らすためには、スクワットや腕立て伏せなどのレジスタンストレーニング(筋肉に抵抗をかける動作を反復して行う運動)とカーディオトレーニング(心拍数や呼吸数を増加させる身体活動全般)を組み合わせ、さらに過酷なトレーニングを取り入れようとする人もいるでしょう。そこでエリス氏は、「そのためには、燃料となる炭水化物が必要不可欠になりますので」と苦言を呈します。

正解:タンパク質を優先する

 脂肪を燃焼させることだけが目標ではないはず。目指すのは、理想的な筋組織の構築・維持です。炭水化物を減らすことでもたらされる効果もあるでしょうが、それよりタンパク質の摂取量を増やすことが必要となるのです。

「何にも増して重要なのは、体重1kgあたり1g以上というタンパク質の摂取量を守ることです」と、エリス氏は念を押します。そのうえで、健康的な脂質とタンパク質を摂ることを意識し、カロリー不足に陥らないように注意しなければなりません」

 体重1kgあたり1gのタンパク質という摂取量は、ジムのロッカールームやフォーラムなどで推奨されている「体重1ポンド(約0.5kg)あたり1g」よりも小さな量です。2011年に行われた研究(*4)では、それより多くのタンパク質を摂るべきという結果も示されました。

 カロリー不足を避けながら、1日あたり体重1kgに対して1.8~2gのタンパク質を摂ることで、「脂肪減少を目的としたカロリー制限期間」における除脂肪体重の減少を抑える効果があることが、その実験により明らかになったのです。できるだけ多くのタンパク質を実際の食品から摂取しつつ、目標量に足りない分をサプリメントなどで補うのが望ましいのです。