賃金は日本経済の活力源で、増やさなければどんどん元気がなくなっていく。莫大な内部留保金を抱えているにもかかわらず、人件費を切り詰め続ける日本の企業。日本はこのまま、巨額の財宝を抱えたまま沈没する船となってしまうのか――。※本稿は、大村大次郎『世界で第何位? 日本の絶望 ランキング集』(中公新書ラクレ)の一部を抜粋・編集したものです。
企業収益はいいのに
国内消費が減り続けている
総務省の「家計調査」によると2002年には一世帯あたりの家計消費は320万円を超えていたが、2022年は290万円ちょっとしかない。先進国でこの20年の間、家計消費が減っている国は、日本くらいしかない。
その結果、企業収益はいいのに、国内消費(国内需要)は減り続けることになる。これでは景気が低迷するのは当たり前である。
国民の消費が減れば、企業の国内での売り上げは当然下がる。
国内の消費が10%減っているということは、国内のマーケットが10%縮小するのと同じことである。企業にとっては大打撃なのだ。
消費が増えず、国内のマーケットが縮小するということは、日本経済のキャパが縮小するのと同様である。日本企業は頑張って輸出を増やし続けているので、GDP自体は微増している。しかし、ほかの国々に比べれば明らかに成長率は落ちている。
そのため、1人あたりのGDPがほかの国々にどんどん抜かれていき、国際的地位も低下していったのだ。
ここ3年で
超富裕層が激増
表32は、3000万ドル(日本円にして40億円程度)以上の資産を持つ人の数の国別ランキングである。超富裕層ランキングと言えるだろう。
日本は、この超富裕層の人口が中国に次いで世界第3位である。日本はアベノミクス以降、円安が続いており、円換算での資産価値は減り続けているにもかかわらず、これほど多くの超富裕層が存在するのだ。
しかも日本はこの超富裕層が、2017年からの3年間だけでも20%までも増加している。
なぜ超富裕層が激増しているのかというと、日本経済は近年、一部の人への「高額報酬」を推進しているからである。