米国の映画館はわずか数年前には猛スピードで衰退に向かっていた。だが、その施設の特異さが救世主になるかもしれない。映画館には観客席用に傾斜したコンクリートの床がある。窓のない大きい部屋が特徴で、ショッピングセンターの裏に隠れていたり、苦戦しているショッピングモールに併設されていたりする。そのため、経営難の映画館をレストランチェーンのチーズケーキ・ファクトリーやスポーツ用品店ディックス・スポーティング・グッズに入れ替えるのは難しい。構造が独特で、建設費が高騰していることから、多くのオーナーはスペースを埋めておくために賃料引き下げを余儀なくされている。「映画館を別の用途に使おうとするのは非常に難しく、非常にコストがかかる」。映画館リース再編の助言を行うA&Gリアルエステート・パートナーズの共同プレジデント、アンディ・グレイザー氏はこう指摘する。同社は英シネワールド・グループの案件も手掛けた。「取り壊す以外にあまり手はない」と同氏は述べた。
苦境の米映画館、特異な物件が救世主に
映画館の運営者は体験価値を高める施設に注力
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