詳細をまとめるとこうだ。
(1)単品の売り上げアップ:単価の改善
(2)単品の費用ダウン:変動費(売上原価など)の改善
(3)組織の売り上げ構造改善:販売数量を伸ばす(来客数を増やすなど)
(4)組織の費用構造改善:固定費(人件費など)の改善
例えば、サイゼリヤの定番、ミラノ風ドリアは税込300円で、1店舗当たり月間2500食程度売れるとされる。
この数値に基づいて、店舗利益を毎月1万円改善する場合の4つの手段の難易度を考えてみたい。
まず、(1)単価アップについて。
1カ月当たり利益を1万円上げようと思えば、300円のところを、304円にすればよい。物価高に応じた自然な範囲の値段アップだ。これだけで月1万円の利益が確保される。
次に、(2)売上原価などの変動費のダウンについては同様に、1品当たり4円のコストダウンができればよいことになる。
ただ、物価高、原料高の中、これまでも血のにじむような努力をしてコストダウンをしてきたところに、さらに4円のコストの絞り込み……相当に大変な努力と工夫が要求されることは間違いない。
(3)販売数量のアップについては、一般的な外食の水準に合わせて、仮に1品当たりの粗利が100円くらいは出ているのだと仮定すれば、100食ほど販売数量を上乗せできればよいということになる。
日々、安定的に運営されている店舗の中で、数量ベースで4%を上乗せしようと思うと、かなりのマーケティング努力が必要となってくる。
(4)固定費の削減は、人件費を月1万円削れればよい。時給を下げるか、勤務時間を減らしてもらうか。
これまでよりも少ない人数でフロアやキッチンを回すことになるかもしれない。たしかにコストダウンはできるが、はっきりと働き手にしわ寄せがくることになる。
もう、お分かりだろう。
会社の財務状況が苦しいとき、最も端的に効果を上げ得るのが単価アップなのだ。