社会のイメージ写真はイメージです Photo:PIXTA

現在は、皆婚社会ではなくなり、多様な生き方が見られるようになった。ただ、シングルたちも高齢化し、仕事もやめると一気に孤独の問題が襲ってくる。そんな高齢化するシングルたちが地域や人とつながるためにできることとは何か。本稿は宮本みち子・大江守之編著 丸山洋平・松本奈何・酒井計史著『東京ミドル期シングルの衝撃 「ひとり」社会のゆくえ』(東洋経済新報社)を一部抜粋・編集したものです。

民間スポーツジムでも繋がれる
ゆるい関係の人々の助け合い

 これから高齢期を迎えるミドル期シングルにとって、今は友人と仕事や趣味を通してつながっていても、仕事を退職したり、経済環境が変化したりすると関係が変化することは避けられません。また実際に高齢期に入れば移動が難しくなることもあり、地域での生活がより重要になってきます。

 そのようなときにいきなり地域に暮らす人たちと親しい友達になることは、多くの人にとっては難しいことでしょう。そんな中で、「幅広く、ゆるい地域活動」を通して、地域空間がミドル期シングルにとって将来の不安を少しでも和らげる土壌になること、日常や、非日常には今必要ではなくても、非常時、つまり何かあったときには助けとなる基礎になること、について考える必要があるのではないでしょうか。

 ではこのような仕組みづくり、場づくりに何が必要なのでしょうか?

 1つは、地域の組織のあり方です。先に述べたように家族をベースとしてきたものから、ミドル期シングルが参加できる、もしくは家族形態をベースとしないような地域のグループのあり方が考えられます。そしてそれは非常にゆるやかな、ふらっと立ち寄れるような場所、関係なのかもしれません。

 決まった時間に集まって会議をし、イベントの企画をする、ということよりも、いつもそこに行けば何かがあり、参加できる、もしくはちょっとみるだけでも良い、そんな場所と仕組みがあり、そこでゆるいつながりを持てば、何かあったときには顔をみたことがある人、少し会話をしたことがある人ともう一回つながることが可能かもしれません。Hさんはこのように語っています。

「何か無理なく話せる状態っていうのは必要かな。今って結構何でしょうね、共通の話題であるかどうかわかんないけど、出会いの場を作ってとか何かそういうのは多いと思うんですけど、多かったと思うんですけど、もうちょっと明確な、でも、最近増えてるのかな。例えば料理好きな人たちが集まってとか何かそういうイベントも増えてるとは思うので、何かそういうのがもうちょっと気軽に入れるようなものがあるといいなとは思いますね」(Hさん、男性、40代前半)

 例えば地域のスポーツジムというのは民間の営利施設ですが、決まった時間に行く必要はなく、仕事が終わって気分が乗れば立ち寄る、そのうち毎回似たようなクラスに参加する人と話すようになる、というのが起こる場所です。