しだいに更衣室で話すようになり、終わったらちょっとお茶でも飲みますか?という関係になるという話はあるでしょう。

 こういった施設はある程度経済的に余裕がないと通えないわけですが、そのような場、仕組みが公共の場にあっても良いのかもしれません。普段はほとんど何をしているかわからないし、知ろうともしないが、地域で何かあり、親や遠くの友人には頼れないとき、そんなゆるい関係の人々と助け合えるかもしれない、ということは1つの安心になるのではないでしょうか?

ミドル期シングルは
地域で有益かつ貴重な人材

 一方でジムに通う余裕も、公共サービスで行われるイベントに参加する時間的余裕もないミドル期シングルも存在します。もちろんその人たちを公的サービスにつなげて今までの枠組みの中でもしっかりと支えていくことは必要です。

 さらに、そのような人たちにむけて例えば住居を安価で提供し、その代わり何らかの地域活動を行ってもらうような仕組みも考えられます。このような仕組みは、例えば若者のシェアハウスなどに通じるものがあります。ミドル期シングルにもそのような仕組みがあれば、自然と地域での活動に参加が可能となる人がいるかもしれません。

 先ほどのHさんは以下のようなアイデアを持っていました。

「シェアハウスってあるじゃないですか。何か老人向けの施設って結局シェアハウスなのかなと思っていて、何か今って年寄りと若い人たちのニーズがあるんですけど、中間層ってないなと思っていて。うん、何かそういうのもあってもいいのかなっていうふうな、あるいは趣味でつながるとか共通の何かで。

 ただ、結構シェアハウスってハウスにしちゃうと住まなきゃいけないので、住むのに抵抗ある人も結構いると思うんですよ。何かもうちょっとゆるやかなつながりの、別にそこに行ってもいいし、行かなくていいしみたいなのがあるといいのかなとかっていうのはちょっとありますね」(Hさん、男性、40代前半)

 さらに、現在、子ども食堂という取り組みが全国的に行われていますが、少し範囲を広げて、シングルたちもまず利用者となり、そこから少しでも興味が出た人は運営側にまわるような仕組みが可能かもしれません。