3. ランニングの楽しさの追求
速く走るのが好きで好きでたまらないという人も、確かにいます。ですが、「多くのアスリートにとって、スピードワークは苦しいもの」と、ハミルトン氏は言います。
速く走るためには無理をしなければなりませんし、集中力も求められ肉体的ストレスが高まります。肉体的ストレスが高まれば精神的ストレスも高まって、心臓への負担も大きくなるのです。
楽なペースのランニングであれば、それとは対照的に「むしろストレス解消のための良い方法」と、ハミルトン氏は指摘します。実際、スピードにとらわれることなく低強度で行うランニングであれば、ただ走ることの楽しさを純粋に味わえるためです。
「途中で立ち止まって、野の花の香りを楽しんだっていいのです」とハミルトン氏。
なにより、自分に合ったルーティンを模索中というランニング初心者にとっては、まず走ることの楽しみを見いだすことが重要ということです。これは、習慣化にも役立ちます。一例として、「2015年に行われた41名の参加者を対象とした実験では、トレーニング中にポジティブな感情をより多く刺激された参加者は、運動習慣を継続できる可能性が高いという結果が示されました」とハミルトンは言います。
4. 回復力の向上
「過酷なランニングばかりを続けることで疲労が蓄積し、結果的にあらゆるトレーニングのパフォーマンスに悪影響が生じる」と、ハート氏は指摘します。だからこそ、スローランを習慣づけることで心身の回復を促しながら、エネルギーを温存するべきだと言うのです。
「追い込みが必要なタイミングで十分な力を発揮できるようにするためにも、日頃から無理をし過ぎないことが肝心」というのが、ハート氏のアドバイスです。
「激しいトレーニングによる影響はトレーニングそのものにではなく、むしろその後の回復に及ぶということに気づかない人々は少なくない」と、ハート氏は言います。スピード重視のハードなランニングをした場合でも、その後しっかりと身体を休ませることでトレーニングの成果が大きく変わってくるのです。