「スローラン」とは何か?

 そのメリットについて詳しく解説する前に、まずは「スローラン」とは何かを理解しておくべきでしょう。スローランをひと言で表すなら、「最大心拍数の7割ほどの心拍数を維持して行うランニング」というのがハート氏による定義です。

 いわゆる「心拍ゾーン(*3)」の「ゾーン1」および「ゾーン2」に当たります。

 心拍数を測定しないまでも、自分の行っているランニングが「イージー(楽な)」ものであるかどうかは実感としてわかるはずです。自覚的運動強度(*4)の指標をご存じであれば、「イージー」および「ハード」なエクササイズの感覚を、よりわかりやすく認識することができます。0から10まで異なるレベルがあるとしましょう、完全に脱力した状態が0、全力疾走の状態が10という具合になります。

 運動強度を計るための、他の方法もみてみましょう。

 例えばランニングを終えた直後に誰かと話をしてみてください。「会話の途中で息切れしないのであれば、スローランがうまく行っている可能性が高いです」と、ハート氏は言います。

「私自身、ペースを上げ過ぎていないかと自問しながら走るようにしています。そんな考えが頭によぎっている時点で、速く走り過ぎていることが多いのです」とハート氏は続けます。実際、スローランのペースは人々が思い描くよりも、もっとスローなのです。