人を引きつけるためには
メリハリをつけるのが大事

――声のトーンについてはいかがでしょうか。地声が低めの人などは特に、意識的にトーンを上げるべきですか?

 そうですね、これもぜひ意識していただきたいポイントです。先ほど「若者に話が刺さらない」という悩みを紹介しましたが、内容だけではなく、人を引きつける話し方をしていないのも原因の一つかもしれません。

「ここを高く」「ここは低く」「ここでスピードアップする」など、メリハリがあるしゃべり方を意識すると、たとえ面白くない話でも(笑)、人に興味を持って聞いてもらえるはずです。

――つい早口になってしまうことに悩んでいる人も多いと思います。何か対策はありますか?

 早口でしゃべると、自信がなくて焦っているのかなという印象を相手に与えてしまいますよね。だから私は、目の前に文字があって、それを読み上げるような気持ちでしゃべってくださいとよくアドバイスしています。言葉を思い浮かべて、それをなぞるように話すんです。

 聞き手が飽きてしまっているのではないかと不安になることもあるでしょうが、そこは割り切ってしまうのがベストです。必ずしも全員に分かってもらう必要はないんだ、と。

 私も講演会などで、下を向いて携帯を触っている人を見ると、退屈させてしまっているのかなと不安にならないわけではありません。でも、そこは開き直って、「せっかく時間を割いているのにもったいない人だなあ〜」なんて思うようにしています(笑)。