初心者向けのコンビニジムchocoZAP(チョコザップ)への計画的な積極投資を続け、フィットネス業界において会員数首位を誇るまでに成長させたRIZAPグループ。今後はチョコザップ事業でさらなる成長路線を描くという。彼らはその先にどんな未来を見据えているのか。RIZAPグループ代表の瀬戸健氏にチョコザップ戦略の深層を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・ライフ編集部 編集長 小尾拓也、まとめ/大根田康介)

大量出店で会員数ナンバー1に
チョコザップが覆した概念とは

「チョコザップ」黒字化で“限界突破”に挑むライザップ、瀬戸健社長が明かす拡大戦略の深層瀬戸健(せと・たけし)
RIZAPグループ代表取締役
1978年福岡県生まれ。2003年に健康コーポレーションを設立、06年上場。12年からパーソナルトレーニングジム「RIZAP」事業を開始。16年、RIZAPグループに社名変更。ヘルスケア・美容、ライフスタイル、インベストメント事業などのグループ会社を束ねる(Photo:RIZAP)

――計画的な大規模投資により、直営店舗の高速大量出店が続けられてきたchocoZAP(以下、チョコザップ)は、今年2月中旬に会員数が112万人(アクティブ会員のみ)を超え、フィットネス業界首位を走っています。昨年11月から、計画を前倒しで単月黒字も継続中です。足もとでは出店ペースを落とし、サービスの品質向上に集中しているそうですが、来期から再び出店攻勢をかけると聞きます。好調の要因は何でしょうか。

 既存のジムは主に上級者や運動経験者が利用する施設でしたが、チョコザップはその概念を完全に覆すことを目指しました。

 運動の初心者や未経験者などのライト層に焦点を当て、会費の安さに加えて、生活圏内にありアクセスが容易、24時間利用可能、着替えが不要といった利便性を追求し、気軽に運動する機会を提供してきました。このアプローチが、顧客に受け入れられた最大の要因であると考えています。

 当社の基幹事業であるライザップとの事業連携についても、ようやく芽が出てきました。ライザップは「結果にコミットする」というコンセプトの通り、体重や体格の変化において高い目標を持つ層が中心ですが、チョコザップは気軽に運動したいという層を対象にしています。
 
 しかし、その中の一定数の人が本格的な運動に目覚めて「もっと体を鍛えたい」「減量をしたい」といった、より高い目標に挑戦したいと感じるようになり、次のステップに進んでいます。実際、データによると、今年1月には、ライザップの新規入会者のうち7.8%がチョコザップの経験者でした。この取り組みはまだ始まったばかりですが、強い手ごたえを感じています。