「いい声」とはどんな声?
練習してマスターしよう

――魚住さんは「いい声」を出すことも重要だと述べています。具体的にはどのような声を出すのがいいのでしょうか。

 いい声とは、「艷やかで密度の高い声」だと私は考えています。言葉で表すのがなかなか難しいのですが、一般的には“通る声”と言うのが分かりやすいと思います。誰もが聞いて「あ、この人おなかから声が出ているな」と感じるような声です。

 そういう声を出すには、少々練習が必要です。息を吸っておなかを膨らませて、おなかをへこませながら声を出すように発声してみましょう。声が遠くまで届いているのが分かると思います。例えば演劇の俳優さんたちが発声練習をしているのを見たことがあると思いますが、そのイメージです。

 通る声と声の大小は関係なく、小さな声でも、おなかを出したり引っ込めたり腹式呼吸で話すと、密度の高い艶々する声になります。一対一でしゃべるときなどは不要な圧を与えないように、小さめで、かつ、おなかから声を出すようにしたいですね。

――腹式呼吸をマスターするのが一つのポイントですね。

 その通りです。腹式呼吸を覚えると、ワンブレス(一息)が長く持つので途中で言葉が切れず、小さな声で優しくしゃべっているようでも安定感が出ます。逆に、ふにゃっと体の力を抜いて、ボソボソ下に落ちるようなしゃべり方をすると、自信がない印象を与えてしまいます。

 腹式呼吸にはほかにも、声量が大きくなるので抑揚がつけやすくなったり、たくさんしゃべっても喉を傷めにくいといったメリットがあります。日本人は胸式呼吸の方が多いですが、ぜひ練習してマスターしていただきたいですね。