事務機大手のコニカミノルタと富士フイルムは、オフィス向け複合機などの業務提携に向けた協議を開始する。リコーと東芝テックが協業に向けて既に動き始めていることもあり、市場縮小が確実視される複合機業界は再編が現実味を帯びてきた。今後、より本格的な再編が起きた場合、この業界はどうなるのか。「日の丸9割」の複合機市場の最新勢力図を開陳するとともに、業界再編模様を大胆予想する。ここまで目立った動きを見せていない“唯我独尊”のキヤノンは、どこと組むのだろうか。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
リコーと東芝テックは開発・生産で提携
縮小必至の複合機業界が再編へ
4月15日、事務機大手のコニカミノルタと、富士フイルムホールディングス(HD)子会社の富士フイルムビジネスイノベーション(BI)は、オフィス向け複合機などの業務提携に向けた協議を開始すると発表した。
今回はあくまで「協議を開始」したにすぎない。実際、提携の効果は、富士フイルムHDが4月17日に発表した中期経営計画にも織り込まれていない。
複合機事業を担う富士フイルムBIの浜直樹社長は、中期経営計画説明会で「具体的には、まだ何も決まっていない」点を繰り返し強調した。
だが一方で、「シチュエーションが整ってくれば、次の一歩が踏み出せる」と含みのある言い方もしており、今後のさらなる提携を否定はしなかった。
他の複合機大手でも、リコーと東芝テックが複合機の開発や生産の統合に向けて動き始めている。両社の合弁会社が、今年7月に設立される予定だ。
過去にダイヤモンド・オンラインの特集『複合機 “ドル箱”崩壊』でも詳しく解説した通り、プリントボリュームの減少が続く中でも、複合機業界は日系大手が乱立している状態にある。
各社の複合機は、コピーやスキャンなど機能は類似しているものの、製品の細かい仕様が異なるため、統合は容易ではないとされる。しかし、市場の先細りによって追い詰められつつあり、「いずれ各社で複合機の仕様を合わせていくかもしれない」(複合機大手幹部)という。そう遠くない将来、販売も含めた大規模な再編が起きても不思議ではないのだ。
では今後、本格的な業界再編が起きた場合、どのような形になるのだろうか。次ページでは、「日の丸9割」の複合機市場の最新勢力図を開陳するとともに、業界再編模様を大胆予想する。ここまで目立った動きを見せていない“唯我独尊”のキヤノンは、どこと組むのだろうか。