富士フイルムホールディングスとキヤノンは、長らく複合機市場でしのぎを削ってきた宿命のライバルだ。複合機市場の先細りが懸念される中、新たな収益の柱を構築できているのはどちらの企業なのか。特集『複合機 “ドル箱”崩壊』(全7回)の#4では、両雄の「事業の多角化進捗度」を判定する。複合機事業が沈んでも勝ち残れるのはどちらだろうか。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
カメラも複合機も先細り必至
多角化が進んでいるのはどっち?
「祖業」のイメージング分野のみならず、複合機事業でも長年にわたり覇を競ってきた富士フイルムホールディングス(HD)とキヤノン。両雄の“戦場”は、個々の事業領域だけではない。富士フイルムHDとキヤノンは、事業の多角化を巡っても熾烈な争いを繰り広げてきた。
例えば2016年には、医療分野への進出を企図する両社が、東芝メディカルシステムズ(現キヤノンメディカルシステムズ)の争奪戦を繰り広げ、キヤノンに軍配が上がった。しかし富士フイルムHDも簡単には引き下がらない。詳細は次ページで述べるが、日立製作所の画像診断事業を買収するなど、医療分野の拡充に向けて次々と手を打っているのだ。
カメラや複合機の先細りが確実視される中、新たな収益の柱を構築できているのはどちらだろうか。
次ページでは、両社の新規事業参入やM&A(企業の合併・買収)の歴史をひもときながら、「事業の多角化進捗度」を判定する。複合機事業が沈んでも勝ち残れるのはどちらだろうか。