「大人のラグジュアリー」は値段じゃない、伝説のスタイリストが「希少なロレックス」を手放して買った“意外なもの”とは写真はイメージです Photo:PIXTA

現代は新素材の洋服が数多く現れ、機能性のある洋服が手ごろな価格で手に入ります。効率化を追求し、大量生産で安価に生産された洋服は便利ですが、目の前の洋服がどのようにつくられているのか、素材から知ったうえでアイテム選びをすることでファッションに奥行が出ます。連載『伝説のスタイリスト・近藤昌の「人生を変える装い」』の第8回では、「大人のラグジュアリー」をテーマにファッションの楽しみ方を提案していきます。(スタイリスト&ファッションディレクター 近藤 昌)

大切なのはアイテムを選ぶ「理由」

 最近のファッションの傾向を見ると、作業服やアウトドアウェアなどを展開するワークマンやスポーツブランドなど、機能性にすぐれたジャケットスタイルが流行っています。軽くて、ラクにゆったりと着られる。通気性がよくて、しわにならない。耐久性もあって汚れにも強い…といったメリットがたくさんあります。

 以前、マクアケの経営者・中山亮太郎さんにプラスチックでできた生地のジャケットをスタイリングする機会(『「これはおっさんしか着ない」伝説のスタイリストが“スーツ着こなし”7大NGを上場企業社長に伝授【動画】』)をいただきました。

 業種にもよりますが、クラシカルなスーツスタイルから、機能性の高い新素材のセットアップに移行するビジネスパーソンはますます増えていくでしょう。新しい素材は振り幅を広げてくれるので、常にわたしもチェックしています。

 ただ、どのような服にしても必ず「なぜそれを着るのか?」を考えてからコーディネートします。自分自身の洋服を選ぶときも同様です。中山社長にもコンセプトをもって新素材を提案させていただきました。

 新素材の洋服を着ていても他人の反応は千差万別で、「新しいものを取り入れているから最新をわかっている」というわけではありません。「あぁ、この人は環境保護の意識が高いな」「ラクなスタイルが好きなんだな」「新しいものにも感度が高いな」といった印象につながります。本人のバックボーンや人間性など、さまざまなものが、見た目の印象に影響するからです。