2023年はBYDなど中国勢が躍進する一方、日本の大手自動車メーカーは中国市場で不振が目立った。しかし、これだけでは済まない。海外ビジネスの“ドル箱”が中国勢の手により崩壊危機に陥るカウントダウンが始まっている。特集『総予測2024』の本稿では、中国勢の脅威に迫る。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
販売不振の中国市場
三菱自動車は事業撤退
「テクノロジーをさらに進化させ、Eモビリティーの選択肢を増やしていく」──。2023年10月下旬に開催された「ジャパンモビリティショー2023」で、中国の大手電気自動車(EV)メーカー比亜迪(BYD)日本法人の東福寺厚樹社長は報道陣を前にこう強調した。
各社が発売のめどが立っていないコンセプトカーを披露するにとどまったのに対し、BYDは中国市場を席巻している小型EV「ATTO 3(アットスリー)」や「DOLPHIN(ドルフィン)」を展示。先端技術を盛り込んだEVを量産化できることを証明してみせた。
歴史的な円安ドル高を背景に大手自動車メーカーの24年3月期中間決算は、前年を大きく上回る好業績が相次いだ。円安が、トヨタ自動車の営業利益を2600億円、ホンダの営業利益を621億円も押し上げた。それに加え、半導体不足が解消し、挽回生産が進んだことも増益要因となった。
一方で自動車メーカーは、中国市場での販売不振という深刻な減益要因を抱えている。中国での販売台数はトヨタを除く5社が前年から大きく落ち込み、操業を停止していた三菱自動車に至っては中国事業からの撤退にまで追い込まれた(下表参照)。
トヨタは前年同期比0.3%増と踏みとどまったものの、中国での伸び悩みを受けて23年度のEV販売見通しを20万2000台から12万3000台に下方修正した。
もっとも、日系大手自動車メーカーが直面するのは中国販売不振だけでは終わらない。海外ビジネスの“ドル箱”が中国勢の手により崩壊危機に陥るカウントダウンが始まっている。次ページでは、中国勢の脅威に迫る。