たまっち「もちろんいるよ。残念ながら、毎月のように赤字を出してしまっている人も多いのが現実だ……」

平太郎「えー、それは怖い!どういう人が失敗するんですか?」

たまっち「たとえば、不動産の電話営業をきっかけに『楽して不労所得』のようなセールス文句に心惹かれて物件を買ってしまった人に、そのパターンは多いね」

平太郎「そういえば会社の先輩が『ワンルームマンションのオーナーになった』って自慢してたけど、たしか会社にかかってきた電話がきっかけだったような……」

たまっち「そういう場合、返済額が家賃収入を上回る赤字状態に陥るケースが少なくない。平太郎くん、営業マンが電話をかけて営業してくる物件の特徴って、なんだかわかるかい?」

平太郎「えっ……なんだろう……。わからないです」

たまっち「不動産の場合、儲かるのが明らかな物件は何もしなくても多くの買い手が集まってくるものなんだ。でも、そうでない場合は……」

平太郎「そうか!買い手を探さなくちゃならない」

たまっち「そう。彼らがわざわざ電話をしてくる理由は、『扱っている物件がすぐに買い手がつかない(=割高)』からであり、簡単に売れない商品を電話営業していることも少なくないんだ」

平太郎「たしかに。よく考えたら、見ず知らずの人に、わざわざ儲かる話を持ってくる営業マンが多くいるとは思えないですもんね」

たまっち「懇意にしていたり、今後も買ってくれたりしそうな人には持ってきてくれることもあるけどね。一般的に、売り手が高い人件費をかけてでも売るメリットがあるとしたら、販売価格にはそれだけのマージンが乗っていると考えるのが自然であり、それは買い手の視点では美味しくない物件である可能性が高い。そもそもすぐ売れる物件なら営業コストをかけ
る必要がないからね」

平太郎「ほんとだ。納得できます」

たまっち「大切なことは、不動産オーナーになったからといって、必ずしもみんなが儲かっているわけではないということだ。もちろんうまくいっている人もいるけど、それはしっかり知識を得て行動を続けて、自分で物件を探している人に多い。なんとなく誘われて買ってしまった、という人からの相談は、残念ながらよくあるよ」

平太郎「物件を購入できたからといって、簡単に儲かる世界ではないんですね……」

―さっそく甘くない現実を突きつけられ、なんだか先行きに不安を抱える平太郎であった。

iDeCoやNISAよりも
不動産投資をすすめる理由

―とある朝、マネー雑誌を片手に握った平太郎がアズマベーカリーにやって来た。表紙には大きく「新NISA(少額投資非課税制度)大特集」と書かれている。

平太郎「やっぱり不動産賃貸業っていろいろ大変だし、僕には難しいような気がするんですよね。この前、会社の先輩が『資産形成はNISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)で十分』って言っていたので、気になって帰りに本屋さんで雑誌を買ってみたんですよ。NISAって非課税だし、僕には不動産よりNISAのほうがいい気がしてきました!」