2つの巨大な敗北と、
2つの大勝利を経験した日本

 過去140年間で、日本は2つの巨大な敗北と2つの大勝利を経験しています。

◆2つの巨大な敗北
・300年間続いた江戸幕府はグローバル化に対応できず大政奉還を迎える
・第2次世界大戦の敗戦と焼野原となった日本

◆2つの大勝利
・明治維新を実現したことで西洋列強の植民地化を避け、近代化を成し遂げた
・戦後、GDPで世界第2位の経済大国へと成長したこと(現在は第3位)

 戦後70年を経過した現在、日本は1990年代からの長期低迷期を経験して現在に至ります。輝かしい理想を目指したEUの低迷や新興国の経済的台頭、アジア地域のバランスなどの変化、一度は世界市場でジャパン・アズ・ナンバーワンとまで言われた日本企業の凋落と再挑戦への歩み。

 さまざまな要因が重なる2013年だからこそ、私たち日本人は過去140年の歴史を振り返るべきだと思われるのです。

 日本のこれまでは失敗ばかりではありませんし、成功ばかりでもありません。勝利も敗北も、共に大きな出来事としてこの国の長い歴史に刻まれています。

 その中には偶発的な要素ももちろんあると思われます。同時に普遍的な要素もあるでしょう。失敗と成功、それぞれの普遍的な要素を見抜くことができたなら、先行きの見えない現代日本、また私たち個人ひとり一人にとっても、次の時代を生き抜くための重要なヒントが見つかるかもしれないのです。

 サッカーでも野球でも、ディフェンス(守備)だけを磨いても試合に勝つことはできません。最高でも引き分けです。そのようなチームが必ずしも負けや引き分けだけでなく、何度かの輝かしい勝利をしているならば、勝利の要因(成功の本質)を見極めて、磨き上げることは、完璧なディフェンスを目指すのと同じ程度、あるいはそれ以上に必要なことでしょう。