昨年ベストセラーとなった『「超」入門 失敗の本質』。旧日本軍の組織的敗因を分析した古典的名著を、現代日本の閉塞感と重ね合わせて話題を呼んだ。その続編が『学問のすすめ』であることに意外性を感じる人もいるかもしれない。しかし、幕末明治の転換期に書かれた歴史的名著には、混迷する時代を生き抜き、個と国家の変革を実現させるための「成功の本質」が満載なのだ。

『「超」入門 失敗の本質』の続編が、
『「超」入門 学問のすすめ』である理由

 日本の歴史、日本の産業について「失敗の要因」は多く語られています。それは1945年の敗戦の記憶と焼野原となった日本の国土が、私たちに二度と戦争をしてはならないと強く戒めているからかもしれません。

 同時に、第2次世界大戦での反省や日本の失敗の陰に隠れて、日本はその「成功の本質」を議論したり、過去の日本の成功要因を研究する意識が薄い可能性もあります。

 もちろん、過去適切でなかった部分を改めてなぞる必要はありません。しかし、私たちの歴史における「成功の本質」に視線を向けること、成功の真の要因がなんであったかを考察することは、混沌とした21世紀の現代だからこそ極めて重要なのではないでしょうか。

 昨年の拙著『「超」入門 失敗の本質』は、日本的組織論の白眉である『失敗の本質』(ダイヤモンド社)のエッセンスを現代ビジネスで解説した書籍であり、お陰様で非常に多くの読者を獲得することができました。

 私たちは、日本の失敗を改めて議論し、本質を理解することを目指しているのです。であれば、日本の成功を改めて議論することも必要でしょう。

 失敗を議論することが、成功への道を示してくれるように、成功を議論することは、失敗への道をよりわかりやすく浮き彫りにしてくれるからです。

 実は、歴史における「成功の本質」のヒントこそ、実は福沢諭吉の歴史的名著『学問のすすめ』に隠されているのです。