自民党が公表した
新ポスターが示す意味
岸田首相を意欲満々にさせているもう1つの背景が経済である。4月15日、自民党の平井卓也広報本部長らが公表した新ポスターには、「経済再生、実感をあなたに」という言葉が躍り、そのまま選挙公約のキャッチコピーになりそうだ。
「さすがは岸田首相の演説などからAIが選んだだけのことはある」と感心してしまう。
事実、岸田首相はここまで、支持率では20%前後と超低空飛行を続けながらも、3月の春闘では、大手企業の平均で5%以上の賃上げ。課題であった中小企業でも、4%台という高い水準の賃上げを実現してきた。
これらが、経済版のホップ、ステップとするなら。6月には、岸田首相がこだわった1人当たり計4万円の所得税、住民税の減税が国民の元に届き始めるというジャンプの要素が期待できる。
賃上げの影響で夏の賞与もアップしそうで、そうなれば可処分所得が増え、消費も拡大する。
もっとも、政治資金裏金事件に端を発した政治資金規正法改正案の審議はこれからで、衆議院3補選で全勝した立憲民主党の泉健太代表は、通常国会終盤に予定される党首討論で岸田首相に退陣や解散を迫ると予想される。
とはいえ、経済再生の実感があまねく有権者に拡がれば、自分の懐に直接的には関係がない政治資金裏金事件に関する怒りは、かなり緩和されると筆者は見る。