○「社会貢献」に要注意

 自分本位とは逆の、献身性をアピールするケースもよく見ます。

「~~の理由から御社を志望していて、御社で働いて社会貢献していきたい!」
「地元企業である御社で頑張って働いて、地域貢献したい!」
 と、「社会・地域貢献」を盛り込むケースです。

 社会や地域に尽くす想いが好印象につながると考えて、この「社会・地域貢献」を志望動機の中に盛り込むのでしょうが、これもきちんと伝えないと墓穴を掘る危険性があります。

 企業は利益を追求する組織であって、儲けることが最優先。「社会・地域貢献」の重要性は理解していますが、企業にとっては二の次です。ここをちゃんと理解している旨を伝えたうえで、「社会・地域貢献したい」につなげないとNGです。企業の目的を理解していない人、あるいは慈善事業には価値を認めるが利益追求を蔑視する人と見なされかねません。

 たとえば、自分が働くことで会社の収益が上がる、それによって税金を多く納め、新しい雇用も生まれる。これが私の考える「社会・地域貢献」であるといった説明を入れて、その会社で働くことと「社会・地域貢献」を関連付けることが重要になります。

良かれが逆効果(3)「ガクチカ」

 よくあるケースですが、たとえば多くの部員がいるオールラウンドサークルの幹部や役職を務めている場合。大半の就活生は、「サークル活動を頑張った」の後、「大所帯の重要ポストを任されている私ってすごいアピール」をします。

 しかし聞かされた面接官の本音は、
「しょせんお遊びサークルでしょ。人数も水増ししているかもしれないし、活動内容もよくわからないし、それの役職自慢されてもね。こっちが感心するとでも思ってるのかなぁ、やれやれ」。

 また、例えば○○コンテストでの優秀賞などを獲った場合。この賞の素晴らしさと、「獲った私はすごいアピール」をしてしまいます。面接官の本音は、

「へぇ、そうなの。賞のすごさは何となくわかったけど、それって、あなた一人だけがすごいの??? 指導した先生やサポート、使った道具や金額も影響してるんじゃないの?」。

 即戦力性を備えていない学生に対して面接官が感じ取りたいのは、

「当社に入社した後に伸びる人材か?」
「将来、当社に貢献してくれる可能性が高い人か?」

 という潜在能力、将来性です。

 サークルの重要ポジションに就いている、誇るべき受賞歴があるから「私ってすごいでしょ!」ではなく、

・そこでどう頑張ったか
・そのためにどう努力をしたか

 を、ちゃんと伝えないと、面接官には全然響かないのです。