良かれが逆効果(1)「自己PR」

「自己PRをしていただけますか?」は最も重要な質問の一つ。

 この回答が選考突破の鍵を握っていると言っても過言ではありません。

 少しでも自分をよく見せたいと、オーバーな表現が多くなる気持ちはわかりますが、毎年嫌というほど就活生の面接をしている面接官は、誇張PRにうんざり、飽き飽きしています。でも、それを顔に出すわけにはいかないから、平静を装って聞いている。これが本音です。

 まず、ここを押さえておきましょう。

 つまり、うんざりさせなければ、それだけでリードということです。

 たとえば、ゼミ(3人)のグループ長を半期務めた経験から、
「リーダーシップに自信があります!」
 と、自己PRしたとしましょう。

 その後、「なぜなら~」と裏付けを語りますが、果たしてこのレベルの「ショボい体験」で、「確かに、あなたにはリーダーシップの資質が備わっているね!」と、面接官を納得させることができるでしょうか?

 無理ですよね。経験自体がショボいと言っているのではなく、リーダーシップを伝える根拠としては弱いのです。つまりリーダーシップは、この人の場合、面接で語る「売り」ではないわけです。

 150人の部員を抱える体育会の主将なら、売りになります。

 わざわざ売りでないものを売りにして評価を下げるのはナンセンスです。面接官は誇大広告ではなく「等身大の回答」を期待しているのです。他の「売り」を押し出すべきです。

○「求める人物像」を意識しすぎ

 確かに応募企業の「求める人物像」にマッチしているに越したことはありません。

 しかし、即戦力が求められる中途採用と違って、企業は新卒学生に厳密にマッチング精度を求めてはいません。新卒学生に求める人物像なんて、抽象的なスローガンのようなものばかりで、就活生なら誰もが持ち合わせているはずのものばかりです。