忖度と批判の三角関係
加えて、もう1つ疑問を感じたのは、私自身が中間管理職から役員、すなわち経営陣になってからのことです。
中間管理職と議論すると、最終的には、「従業員が自分ごと化できていない」ということになるのです。ここでも、不在の「従業員」が批判の対象になります。
このように、「経営陣と従業員の関係」そして、「経営と中間管理職の関係」ではそれぞれ不在の第三者が批判されていることに気がつきました。
こういった組織では、中間管理職と従業員との関係のなかでは、当然のように第三者である経営陣が批判の対象になります。すなわち、経営陣について、「経営方針がおかしい」という、決して公式には経営陣に届くことのない、批判的な議論がされることです。表に出てこない愚痴といったほうがいいかもしれません。
要するに、経営陣―中間管理職―従業員の三者が、それぞれの一対一の議論の場では、表面上お互いをリスペクトする忖度発言をしながらも、その場に不在の第三者の批判を繰り返す、簡単に言えば、「忖度と批判の三角関係」が生まれているのです。
内向きの日本企業にありがちな関係かと思いますが、この忖度と批判の三角関係が味の素の成長を妨げる組織風土的な要因になっていたのです。