「焦りが募り、動いても動いても空回り、だんだん自分がどこへ向かいたいのか分からなくなっていきました。むしろ失敗という経験が欲しい。それが必ず自分の成功に必要なことだと分かっていました。そういった思いもあり、退職を決意しました」と、その言葉通り決意を込めてキャリアブレイクをスタートさせたのです。

 退職した当初は転職を頭に入れながら求人サイトを眺めていました。転職サイトのスキルの入力欄で、デザイン、ディレクション、プログラミング、などが並ぶ中でふと「イラスト」という文字が目に留まったそうです。

「そういえば絵、描くの好きだったな」と、軽い気持ちからスマホにお絵描きアプリをダウンロードしたことがきっかけとなりました。ユカさんが家族や友人のイラストを描くとみんな喜んでくれて、何人かの友人から「これ仕事にできるんじゃない?」と言われたそうです。本気で仕事にできるとは思っていなかったけれどとりあえずインスタグラムのアカウントを立ち上げて、イラストの投稿を続けました。

会社の後ろ盾がなくても
評価してくれる人はいた

 そこからは、想像もしていなかった世界が広がり、人生が動き始めました。イラストレーター・デザイナーとして個人のお客様や企業から仕事をもらうようになったのです。

 会社という後ろ盾がある立場ではなく、何もない、一個人としての仕事を評価してもらえたことがとても嬉しかったそうです。

 今、ユカさんはイラストレーターとして活動をし始めて3年目になります。「自分のしたかったことを成し得ることはこんなに幸せなのかと、大袈裟かもしれないですが、いまだに心が震えます」というユカさんの言葉には実感がこもっています。

 つくる仕事がしたいという強い想いを持ちながら転職活動をしていたユカさんも、実績がなかったり、縁がなかったり、会社の仕事との両立が難しかったりして、その頃は相当苦労されたようです。「在職中はこんなこと考えられなかった」と、まさかイラストを描き始めるとは思わなかったようですが、思い返せば昔から好きなことでした。