「沢口家」の墓跡にある家紋には
ダビデの星に似たデザインが!

根拠その1 墓守一族にまつわる不思議な痕跡

 新幹線で八戸駅に降り立ち、レンタカーで西へ。国道454号線を小一時間ほど走った先に新郷村はある。地図にはしっかり「キリストの墓」と記されており、付近には戸来村の地名が消滅したいまも、「戸来小学校」や「戸来岳」といった名称が残っている。

「キリストの墓」に到着後、駐車場に車を停めて緩やかな坂道を上がっていくと、傍らに早くもお墓が見えてくる。が、こちらはよくある日本式のお墓で、墓石には「沢口家之墓」の文字が刻まれている。沢口家とは、この「キリストの墓」を代々守ってきた一族である。

 前述したように、キリストはこの村で十来太郎大天空と名を変え、妻・ミユ子との間に3人の娘をもうけているが、その長女が嫁いだのがこの沢口家なのだそう。つまりはキリストの子孫ということになる。

 そんな摩訶不思議なルーツを匂わせる、いくつかの根拠がある。まず、大正時代に沢口家の祖先である三次郎氏を直接取材したことがある、ジャーナリスト山根キク氏はその風貌について、青い目と彫りの深さが特徴的で、「肖像画に遺されたキリストの顔とうりふたつ」と語っている。

 さらに、沢口家の墓石をよく見てほしい。そこに刻まれた家紋は和のイメージとはほど遠く、ダビデの星に似たデザインが用いられているのがわかる。

 ダビデの星とは、イスラエルの国旗にも見られるユダヤの紋章である。正式には六芒星だが、沢口家の家紋は角が6つではなく、5つにアレンジされている。

 沢口家に関する記録をひもといてみると、これはもともと自宅の戸袋に打ち付けられていた紋章を、そのまま家紋に採用した経緯があるという。一説には、「ユダヤの紋章を戸袋に打ちつけるのは恐れ多い」との理由から、角を1つ取って現在の形にしたと伝えられている。

 日本の家紋にこうしたデザインが用いられるのは、いささか不自然に思えるがどうだろう。この言い伝えが事実なら、少なくともユダヤとの何らかの繋がりがこの地域には残されているように思えてならない。

キリストは青森で106歳まで生きたって本当?新郷村のお墓と盆踊り歌に隠された秘密とはキリストの墓を代々守ってきた沢口家。名前の上にある家紋に注目 Photo by S.T.
キリストは青森で106歳まで生きたって本当?新郷村のお墓と盆踊り歌に隠された秘密とは沢口家の古い家屋の戸袋に残されていたという紋章 Photo by S.T.