盆踊り歌「ナニャドラ」の歌詞には
キリストの心境が隠されている

根拠その3 旧・戸来村に散見されるユダヤの文化

 ところで、かつて存在した戸来村は、1955年に近隣の野沢村の一部と合併し、現在は新郷村と名を変えたことは先にも触れた通り。その“へらい”という地名の由来は不明とされているが、これが古代イスラエルの別称、「ヘブライ」に由来するというまことしやかな説がある。

 なにしろこの界隈には、ユダヤに通ずる文化や風習がたくさん残されており、あながちこじつけに聞こえないのだ。その最たるものが、戸来村に伝わる盆踊り唄「ナニャドヤラ」だ。

 いまでも夏祭りで歌われている「ニャドヤラー、ナニャドナサレノ、ナニャドヤラー」という歌詞は、いかにも日本語離れしていて、国内のどんな方言をもってしても解読できない謎の歌とされている。

 ところが、岩手県出身のヘブライ語学者・川守田英二博士によって、この歌詞がヘブライ語では次のように翻訳できることが究明されている。

「お前に聖名をほめ讃えん、お前に毛人を掃蕩して、お前に聖名をほめ讃えん」

 わかりやすく意訳すると、「主を讃えよ、主は逆賊を掃討してください、主を讃えよ」となる。まるで、ユダに裏切られて処刑されたキリストの心境を表しているようである。

 新郷村では数年前、イスラエル大使を招いてこの「ナニャドヤラ」を生で聴かせる機会があった。そ の大使は、歌詞の意味はいまひとつわからないと前置きしながらも、「これはヘブライ語だと思う」と語っている。

 こうしたユダヤの痕跡はほかにもある。戸来村の方言では父親を「アダ」、母親を「アバ」と呼ぶことがあるそうだが、これは「アダム」と「エヴァ」が転化したものではないかと指摘されている。

 日本語とヘブライ語の類似は、実は枚挙に暇がない。「アキナフ(買う)」、「アリ・ガド(私にとって幸運です)」、「エッサ(持ち上げるぞ)」、「カク(書く)」、「コマル(困る)」、「ニクム(復讐する)」などなど、中には日本語そのままの言葉も少なくないのである。
※参考資料:久保有政『神道の中のユダヤ文化』(学研)

 また、この地域では生まれた子どもを初めて屋外に出すとき、魔除けのために墨で額に十字を記す風習が残されている。なぜ十字なのか、理由は明らかになっていない。

キリストは青森で106歳まで生きたって本当?新郷村のお墓と盆踊り歌に隠された秘密とは敷地内の「キリストの里伝承館」に展示される不思議な風習の様子 Photo by S.T.