孫正義氏と弘兼憲史氏Photo:JIJI(孫正義氏)/Photo by Motoyuki Ishibashi(弘兼憲史氏)

想像を絶するスピードとスケールで10兆円企業をつくりあげた経営者から学ぶべきことは多い。孫正義ソフトバンクグループ代表の評伝『志高く 孫正義正伝 決定版』(実業之日本社文庫)の著者井上篤夫氏が孫氏を深く知る人物と対談し、ビジネスパーソンに学びをお届けする連載「ビジネス教養としての孫正義」の第14回。対談相手は、ビジネス漫画の金字塔「島耕作」シリーズ作者の弘兼憲史氏。孫正義氏を「ジジ殺し」と形容する2人が、人から好かれる人の特徴について語ります。サラリーマンとして生きる島耕作との対比から、創業経営者が持つ強みについても分析してもらいました。(取材・構成/ライター 田之上 信)

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孫正義が「偉い人」に好かれる当然の理由

井上 ビジネスパーソンも、経営者だけではなく、人に好かれることが重要ですよね。弘兼さんはご著書にも書かれていますが、人に好かれる大事な要素の一つが明るい人柄だと。孫さんも好かれるじゃないですか。

弘兼 孫さんは明るくて、笑顔もかわいらしいですからね。

井上 明るい人柄のほかに、人に好かれるための条件はありますか。ご著書で出世する人の中に「ジジ殺し」と呼ばれるタイプが多いと書かれていますが、孫さんもかつては「ジジ殺し」と呼ばれていました。

弘兼 孫さんは「ジジ殺し」ですよね。元ローソン社長・会長で、現在はサントリーホールディングス社長の新浪剛史さんもそうですね。孫さんとはタイプが違いますが、上の人に対して物おじせずに話をする。偉い人を前にすると、たいていの人はおどおどして何も言えないですが、そこポンと何か発言すると、「あいつは面白いことを言うやつだな」「活きがいいな」といった感じで気に入られるわけです。

井上 なるほど。

弘兼 別にコツがあるとか、媚びるわけではなく、そういうことをポンと言える人は、上から好かれるというか、引っ張り上げられることが多いように感じます。