非自発的失業者には
保険料の減免措置がある

(3)国民健康保険に加入する

 国民健康保険は、被用者保険に入れる労働者とその家族、75歳以上の人を除くすべての人の受け皿となっている。(1)の被扶養者、(2)の任意継続被保険者の加入要件を満たさない人は、都道府県単位の国民健康保険に加入する。

 保険料は、自治体の財政事情や人口規模などによって大きく異なっている。また、保険料計算のベースになっている「所得割」は、前年の所得に応じて保険料が決まる。特に定年退職した後は前年の所得が高いので、それに比例して保険料も高くなってしまう。

 また、会社員の健康保険は、扶養家族の分の保険料を支払う必要はないが、国民健康保険は加入する家族の人数に応じた「均等割」があるため、たとえ家族に収入がなくても、家族の頭数に応じた保険料負担が生じる。

 この他、市区町村によっては、世帯単位で徴収する「平等割」、固定資産税などに応じて徴収する「資産割」を導入しているところもあるため保険料は割高になることが多い。

 ただし、会社都合による解雇や雇い止め、会社の倒産などで退職した非自発的失業者の場合は、国民健康保険を利用した方が保険料は安くなる可能性が高い。

 前述のように、国民健康保険料は前年の所得に応じて決められるが、非自発的失業者は前年の所得を7割減にして保険料を計算するという特例措置が設けられている。この制度を利用すれば、任意継続被保険者よりも保険料が安くなるケースもある。解雇や雇い止めにあった場合は、国民健康保険の窓口で相談してみよう。

 国民健康保険に加入する場合は、その他の保険の資格喪失から14日以内に手続きする必要がある。無保険にならないように、扶養家族の分も含めて忘れずに加入手続きをしておきたい。

 このように、退職後に加入する公的医療保険には3つの制度があり、いずれもメリット・デメリットある。制度変更により、任意継続被保険者は必ずしも有利とはいえなくなっているが、付加給付のある健保組合なら給付面が充実している。

 特に、病気やケガの治療中で退職することになった場合は、多少保険料が割高になっても任意継続被保険者になった方が充実した給付が受けられ、トータルでは見た場合は有利になる。保険料だけではなく、自分の健康状態、扶養家族の有無なども考慮しながら、一番お得な制度を選ぶようにしよう。