【知らないと大損】無防備な新社会人を救う「高額療養費」の意外な手厚さ写真はイメージです Photo:PIXTA

大きな病気やケガで医療費が高額になった場合でも、自己負担が軽減される「高額療養費」。『医療費の裏ワザと落し穴』の第278回では、この春から社会人生活がスタートする人たちに向けて、基礎知識からお得な利用法まで、その仕組みを解説する。(フリーライター 早川幸子)

公的な医療保険には
さまざまな給付が用意されている

 新年度がスタートした4月1日、多くの企業で入社式が行われた。今年は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが、5類感染症に移行してから初めて入社式となった。

 順当に進学してきた場合、今年の新社会人が大学生になった2020年4月は、コロナ禍で世界中が大混乱に陥っていた時期だ。コロナ禍で困窮する国民に対して、国は異例の支援策を講じ、学生の国民年金保険料や奨学金などについてもコロナ特例が設けられた。

 学生生活のほとんどの期間がコロナ禍だった彼らは、社会保障の重要性を認識する場面が多かったのではないだろうか。

 その彼らも、就職すると同時に親の扶養から外れて、自ら保険料を負担して社会保険に加入し、社会を支える一員になる。社会保険料は給与から強制的に天引きされてしまうので、少し損した気持ちになるかもしれない。だが、その分、充実した保障が用意されており、万一の生活は守られている。

 病気やケガをしたときの保障である公的な医療保険には、さまざまな給付が用意されている。そこで、今回は、新社会人に特に知っておいてもらいたい「高額療養費」について見ていこう。